眞魔国の城下町。髪を揺らしながら狭い路地を女の子が駆けていた。
家のドアを開け、いつもと違う雰囲気に気がつく。家の中を覗き込んですぐに外へ出、辺りを見回してから裏へ周り、母親を見つけると駆け寄って尋ねた。

「ベルガは?」

母親は娘を見てすぐに井戸へ視線を落とす。

「ねぇ、母さん、ベルガがいないの。何処にいったの」

「もうベルガはいないよ」

「どうして…」

「ベルガを欲しいって人がいてね。連れていっちまったよ」

「何でっ、どうしてっ」

少女は母親にすがりついた。

「家よりもっと幸せになれるところに行ったんだよ。もうベルガのことは忘れなさい」

「何処、誰が連れて行ったの」

母親の服を引っ張り少女は目に涙を浮かべた。

「うるさいねっ。いないったらいないんだよっ」

その手を振り払うと少女は泣きながらその場を去って行った。母親は小さく溜め息と、独り言をもらす。

「仕方ないんだよ」






「だいぶ上達しましたね」

剣を支えに肩で息をしている有利にコンラッドが手を差し出して来た。

「全然まだまだだよ」

その手を掴んで身体を起こす。そこへギュンターが飛び込んできた。

「コンラート、その手をお離しなさいっ」

コンラッドはあらあらという顔をして両手をあげ小さく万歳してみせた。

「うわっ、なんだよ、ギュンター」

今度はその手をギュンターが握り締める。

「ああ、なんて美しい指。ピンク色の爪。そのような指に剣を持たせて怪我でもされたら、このギュンター、気が気ではありません」

ほっといたら頬擦りでもされそうで、慌てて手を引っ込めた。

「何か用事があるんじゃないのか、ギュンター」

その仕草にあきれながら、コンラッドが話し掛ける。

「そうです、陛下。実はシュトッフェルが陛下に謁見を申し出て、今、血盟城へ来ています」

「シュトッフェルが?一体なんで」

有利の横でコンラッドが顔をしかめた。ギュンターの顔も険しい。

「何でも陛下に献上したいものがあるとか」

「なんだろう」

「断りましょうか」

「いや、折角手土産持って尋ねてきたんだし、会うだけ会うよ」

「なんてお優しい」

「着替えてくるからちょっと待っててって伝えておいて」

「かしこまりました」

ギュンターは来た道を颯爽と戻っていった。

「ユーリ」

「大丈夫。んな心配そうな顔すんなよ。コンラッドもギュンターも一緒にいてくれんだろ」

有利はにっこり笑った。






「これはこれは、陛下、本日もご機嫌うるわしゅうございます」

媚びるような言い回しに少しだけ有利は顔をしかめた。前魔王の実兄で似てない3兄弟の叔父。有利にとってもあまり彼のいい話は聞かない。

「堅苦しい挨拶はいいよ。今日は何の用でわざわざ血盟城まで」

「実はとても貴重な物を手にいれまして是非とも魔王陛下に献上致したく参上しました」

シュトッフェルの後ろにいた兵が布のかけられた箱を持って来る。
シュトッフェルはその前にしゃがみ込むと箱の前面に付いていた扉を開けた。手を突っ込んで何かを引っ張りだそうとしているようだが手が届かないのか、掴めないのか、今度はよつんばになって中を覗きこみはじめた。

「ギャアァァァッッ!!」

次の瞬間シュトッフェルの悲鳴が謁見場に響き渡り、鼻を押さえて後ろに転がった。

ギュンターとコンラッドは剣を抜き有利の前に立ちふさがる。

「何、何があったの?」

すると有利の足下に小さな黒い物が飛び出して来て、マントの中に隠れる。

「うわっ何かマントに飛び込んで来たっ!コンラッドっ」

「失礼、陛下」

コンラッドが片膝を付いて有利のマントをめくり、それを両手で持ち上げた。

「グウウウッッ」

バタバタと暴れて唸り声をあげているのは生後6ヶ月程の子犬だった。

「わっ、可愛い」

「これは…」

ギュンターとコンラッドが驚いた顔で子犬を見ている。それを不思議に思っていると、シュトッフェルが鼻を押さえたまま話だした。

「如何ですか陛下。陛下の隣りにおいても見劣らないその漆黒の毛並み。二つとない珍しい犬です」

「確かに、何て珍しい」

ギュンターが感嘆の声をあげる。

「え、そうなの?」

黒い犬なんて家の近所にもいるから有利にとっては珍しくはない。

「この国では黒の動物は貴重なんですよ」

まだ子犬はコンラッドに掴まれたまま足をバタバタさせている。有利が手を伸ばすと唸り声をあげて牙をむき威嚇した。

「陛下、危険です。コンラート、それを陛下から遠ざけなさい」

そしてキッとシュトッフェルを睨み付ける。

「貴重な黒の犬だとしても、陛下に牙をむけるような犬を献上するとは何事ですか」

「うっ、だが」

噛まれた鼻が痛々しい。

「ギュンター、よせよ。折角持ってきてくれたんだし」

有利は子犬の足を床につけたまま掴んでてくれるようにコンラッドにお願いし、怖がらせないように指をげんこにして近付ける。鼻に皺を寄せ警戒していた子犬も、くんくんと匂いを嗅ぐとペロッと有利の手を舐めた。

「コンラッド、離していいよ」

コンラッドが手を離すと有利の側へ近寄って、身体をすり寄せた。

「凄いもんだ」

コンラッドが関心する。有利が子犬を抱き上げると大人しく腕の中に収まった。

「家に犬が2匹いるからね」

子犬の首を撫でると気持ちがいいのか大きな黒い瞳を細めた。

「さすがは魔王陛下。なんと黒がお似合いで!」

「この子犬もらっていいの?」

「是非とも、魔王陛下のお側に」

「ありがとう」

ニコッと有利が微笑んだ。

これで陛下とのコネが出来た。犬の様子を見に来たと言って血盟城へマメに来ればいい。そして徐々に親しくなれば…そんなことを考えシュトッフェルは細く笑んだ。

「コンラッド。こいつお腹空いてないかな。何か食べる物あるかなぁ」

「厨房に行って頼んでみましょう」

有利とコンラッドが歩きだした後ろからシュトッフェルが慌てて呼び止める。

「あれまだ何か用?この子、大事に育てるな。行こ、コンラッド」

すたすたと有利は歩きだした。もう腕の中の黒い子犬が気になって仕方ない。
コンラッドはシュトッフェルを一瞥すると有利の後を追った。

「くっ、人間と魔族の混血がっ」

シュトッフェルは小さく呟き唇を噛み締めた。

「では、陛下も忙しい身。あの貴重な黒い犬は我々側近で大切に面倒を見ます。ご安心を。閣下がお帰りだ。城門までお送りしろ」

暗にもう来るなと含ませギュンターはシュトッフェルを追い出した。






「食べてる食べてる」

厨房で肉をもらい部屋で子犬にあたえると物凄い勢いで平らげていく。

水を飲んだ後、しゃがんだままの有利にすり寄っていく。

「すっかり懐きましたね」

「名前つけてやんなきゃな」

パンパンになったお腹を撫でてやりながら名前を考える。

「やっぱ黒いからクロとかかなぁ」

「英語で黒はブラックですよね。ブラオとかどうですか」

「コンラッド…名付け親になんだけどネーミングセンスないよ」

そういえば自分も渋谷有利、原宿不利と、目の前の爽やかな名付け親がつけた名前ででさんざんからかわれたのだ。

「そうですか?」

「馬がアオだし、お前はクロでいいな」

頭を撫でると嬉しそうに尻尾を振った。
その光景を同じくしゃがんだままで微笑んでコンラッドが見つめる。その視線に気付いて有利が顔をあげた。

「何?」

「可愛いなと思って」

「本当、そうだよな」

「いえ、あなたが」

赤くなる有利にコンラッドの顔が近寄っていく。

「ギャンギャンギャン」

あと少しで唇が触れると言うところで、子犬が有利の足下で暴れ、コンラッドに牙をむく。

「なんだよ急に。ほら大丈夫だよ」

有利は子犬を抱いて立ち上がった。

「ウーッ」

と子犬はコンラッドにまだうなっている。

「嫌われたみたいだね」

「コンラッドは怖くないから大丈夫だよ」

しかし子犬はそれ以降もコンラッドが有利に近付くとうなって威嚇した。








「今帰ったぞ」

領地に戻っていたヴォルフラムが遅くに血盟城に戻って来た。

「全く婚約者が疲れて帰って来たというのに、寝てるとは何事だ」

布団を被って寝ている有利の隣りに入込んだ時だった。布団の中から黒い塊が飛び出してきて、慌てたヴォルフラムはベットから転がり落ちた。

「な、なんだ、一体」

黒い塊はギャンギャンと吠えまくりヴォルフラムをベットの上から威嚇する。

「ん、なんだよクロ。どうしたの」

眠そうな顔をして有利が起き上がる。

「何だっ!!ユーリこれは!」

「あれ?おかえり、ヴォルフ」

「おかえりじゃないっ。何だ、この黒いのは」

「犬だよ。クロって言うんだよ。可愛いだろ。ほら大丈夫だよ、クロ」

有利が騒ぐクロを抱き寄せると大人しくなるが、ヴォルフラムを警戒して低くうなっている。

「どうしたんだ、それは」

「今日シュトッフェルが来て連れて来たんだよ。この国じゃ、黒い犬は珍しいからプレゼントだって」

「あの男が?ふん、どうせユーリに取り入るために持ってきたんだろう」

そしてまたヴォルフラムがベットに近寄ると子犬が激しく吠えはじめた。

「僕はユーリの婚約者だぞっ!犬の分際でっ」

「よせってヴォルフ。自分の部屋で寝ろよっ」

「何で僕がっ!そいつを外に追い出せっ」

有利はすっかり目が覚めてしまい、子犬を抱き上げベットからおりるとその隙にヴォルフラムがベットに潜り込んだ。

「おい、ヴォルフ!!」

「ちゃんと捨ててから戻ってこい」

「捨てられる訳ないだろ!おいっ」

「うるひゃい…もぉ眠いんら」

そして一分もたたないうちにスピスピと寝息が聞こえてきた。

「寝れないじゃん、俺」

仕方なく有利は子犬を抱いて部屋の外へ出た。
そのまま廊下を歩いて、扉の前でとまるとドアを叩く。少しするとドアが開かれた。

「ユーリ?どうしたのこんな夜中に」

「ヴォルフラムに追い出された」

「とにかく中へ」

コンラッドが有利の肩に触れようとした途端有利に抱かれていた子犬が唸り声をあげる。

「ダメだろっ、クロ」

コンラッドは苦笑いしながら後ずさった。

「もうヴォルフにも凄い吠え付いちゃってさ。ごめんコンラッド」

「折角こんな夜中にユーリが夜這いにきてくれたのに、ちっちゃなナイトが許してくれないみたいだ」

「よ、夜這いって」

「今暖かい物を持ってくるよ。ちょっと待ってて」

少ししてコンラッドは有利と子犬にホットミルクを運んで来た。もちろん子犬用にはぬるめにしてある。ヴォルフラムに吠えていたせいか、喉が渇いていた子犬はすぐにミルクを飲み干し、有利のひざに乗って丸くなる。その間、コンラッドは小さな箱に毛布を引いて子犬の寝床を作っていた。

「多分そこじゃ寝ないと思うよ。俺も部屋で同じの作ったけどベットの中に入ってきたもん」

「大丈夫だよ。さぁ出来た」

有利は子犬を抱き抱えてコンラッドが作った即席ベットに子犬をゆっくりとおろす。
子犬はもぞもぞと動いたが、そのまま寝てしまった。

「おっ、寝てくれた。疲れたのかな、やっぱり慣れないことばかりで」

「きっとそうですよ。でも妬けますね。ユーリをずっと占領してて」

「ったく、何言ってんだよ。わっっ」

立ち上がったと同時に身体が浮き上がり、まじかにコンラッドの笑顔があった。

「じゃ、俺達も休みましょうか」

「一人で歩けるし、部屋に戻るからっ」

「しーっ。折角クロが寝たのに、大きな声を出すと起きて騒ぎだしますよ」

少し有利が声のトーンを落とす。

「とにかくおろせって」

「はい」

返事良くにっこり微笑んで歩きだすとコンラッドは有利をベットの上におろした。

「コンラッドっ!!」

コンラッドは人差し指を立ててしーっともう一度言うとまだ何か言おうとした有利の口を塞いだ。
言葉はコンラッドに飲み込まれ、もう声をだすことは出来なかったが、数分もすると、再び小さな声が部屋に響いていった。






コンラッドの隣りに寄り添い眠りに落ちている有利の髪を優しく撫でる。子犬はまだ、深い眠りに落ちていた。さっき飲ませたミルクの中の薬がまだ効いているようだ。
しかし目が覚めればまた有利の側に人を寄せ付けないだろう。

「さて、どうしたものか」

コンラッドは箱の中で寝ている小さなナイトを見つめた。

 

 

 

翌朝のロードワークには子犬も一緒に中庭を駆ける。
何をするにも有利と一緒でしかも誰かが有利に触れようとすると子犬は牙を向いて相手を威嚇した。

「何なんだあの犬はっ!」

朝からすでに二回程噛まれそうになったヴォルフラムが少し離れた場所から子犬を睨み付ける。

「陛下にしか懐いていないからな」

「婚約者の僕を何だと思ってるんだ」

「恋敵じゃないか」

そう言うとキッとコンラッドを睨み付けた。犬と同レベルなのが気に食わないらしい。

「おーい隊長」

そこへヨザックが中庭に入ってきた。

「どうだった?」

「わかったぜ。やっぱりアイツが寄ってた家があったよ。近所の人にも聞いたけどビンゴだぜ」

「何の話だ?」

2人の会話にヴォルフが首をかしげた。

「ユーリ」

中庭で子犬と遊んでいたユーリを手まねきする。有利と一緒に子犬が駆けてくる。

「ヨザック、おはよう」

「おはようございます陛下。ヘー本当に真っ黒だ。実はね、この犬のことで訪ねてきてる子がいるんですけど」

「へっ?誰?」

有利の隣りにいた子犬の耳がピンと立ち上がり、一目散に駆け出した。

「あっ、クロ」

そして中庭の入口で立っていた女の子に飛び付き大きく尻尾を振り鳴き叫んでいる。

「あの子は?」

「クロの飼い主だよ」

コンラッドが説明する。

「クロの?」

「そうですよ陛下。あの子の話によると急に飼ってた子犬がいなくなっちゃったんですって」

「それって」

「アイツのやりそうな事だ。珍しい犬を飼ってるのをどこからか聞いて、あの子の親から取り上げたんだろう」

心底憎んでいるような顔をしてヴォルフラムが足下の土を蹴りあげた。

「ねぇ、その犬は君の犬なの」

有利は子犬を抱き締めている女の子に近付いて目線を合わせるためにしゃがみこんだ。歳はグレタより少し上ぐらいだろうか。女の子は驚いた顔をして有利の顔を見つめ、はっとした表情をして有利よりさらにしゃがみこんだ。

「魔王陛下、この度は失礼だとは思いましたが、最後にどうしても、ちゃんとベルガにさよならをしたくて」

「ユーリ立ってあげて」

脇に両手をいれてコンラッドが有利を立たせた。そして小さな声で説明をする。

「陛下を見下ろすなんて失礼な事しちゃいけないと思ってるんだよ」

まだ小さいのに、そんなこと考えているなんて想像もしていなかった。
女の子は涙をためてギュと子犬を抱き締めている。子犬は甘えた声を出し続けていた。

「君、名前は?」

「マーシャです」

「ねぇマーシャ、この子犬は君に懐いてるし、やっぱりマーシャが飼うべきだと思うんだ」

しかしマーシャは首を横に振った。

「魔王陛下に献上されたものを持ち帰ったら母に叱られます」

「返されたって言ってもだめなのかなぁ」

少女は首を横に振る。そして精一杯笑顔をみせた。

「陛下ありがとうございます。ベルガを可愛がってあげて下さい」

そう言われてもこのままこの少女を1人で帰す訳には行かない。

「コンラッド、マーシャと一緒に帰って母親に説明してあげてくれないかな」

「ええ。そうおっしゃると思いました」

ニコッとコンラッドは微笑んだ。

少女は信じられないと言う顔をしている。

「でも陛下」

「俺、ちょっと色々忙しくてさ、なかなかベルガの面倒みてあげられないんだ。だからマーシャが面倒みてあげてよ。時々、遊びに行くから」

「あ、ありがとうございます」

マーシャは深々と頭を下げた。

「ユーリ何言ってるんだ!黒い犬なんてどれだけ貴重なのかわかってるのか」

「なんだよ昨日は捨てて来いって言ったじゃないか」

「それとこれとは話が別だっ」

「そうすると、ベルガは魔王陛下のご寵愛を受けるのは当然だし、番犬として陛下をお守りするから、ヴォルフラムは別室で休まないとな」

「なんで婚約者の僕が別の部屋で寝ないといけないんだ」

「ヴォルフラム、頼むから子供の前で誤解されるような事、言わないでくれ」

情操教育上よくない。

「子供といっても見かけだけで、もう18歳ぐらいですよ。陛下」

ヨザックの言葉に驚く。

「俺より年上!!」

魔族の年齢はやはり難しい。

ヴォルフラムは女の子と子犬を睨み付けていたが「勝手にしろ」と城の中へ入っていった。

「じゃ、ユーリ街に行って来るよ」

「うん、頼んだよコンラッド」

「陛下、本当に本当にありがとうございました」

「いいって。じゃな、クロ。じゃなくてベルガ。時々会いに行くから、元気でな」

子犬は有利の顔をペロッと舐めて、ワンと吠えた。
女の子は何度も何度も、頭を下げて、去っていった。

そしてコンラッドが少女の家を訪ねて説明をし、子犬はまたもとの飼い主の元に戻る事が出来た。





「しかし勿体ないなぁ。滅多にお目にかかれない黒い犬だぜ」

帰り道ヨザックがあーぁと言いながらコンラッドの隣りを歩いていた。

「まぁそうだけど、やっぱり本当の飼い主の元が一番だろ」

「でも坊ちゃんに相当懐いてたんだろ。三男坊がぶーぶー言ってたからな」

そして今気がついた事をヨザックが口にする。

「もしかして、今回飼い主を捜させたのってあんたが一番あの黒犬が邪魔だったんじゃねーのか」

「何の事だ?」

「うっわー腹黒。爽やかな顔して邪魔ものは排除?」

「ヨザ。次の任務へき地じゃないといいな」

ニコニコしながら言っているが目が笑ってない。

「ちょっ!あんた、信じらんねぇ」

「じゃ、またな」

すたすたとコンラッドは歩いていく。呆然とその後ろ姿を見ていたがヨザックはハッと我に帰った。

「またなじゃねぇよ、俺も城に戻るんだっての」

ヨザックはその後を急いで追った。

そんな会話が繰り広げられているとはつゆ知らず有利はコンラッドの帰りを待っていた。子犬を口実に、城下へいつ遊びに行こうかと考えながら。

 

END

 

2007/3/18
題名の黒は犬の黒、コンラッドの(腹)黒?

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