俺とコンラッドは毒女アニシナの書いた本の中から無事、脱出することが出来た。
まだ夢だった方がどれだけマシだったか。
散々森の中をパジャマで歩き回り、普通では考えられない巨大生物に遭遇し、本の中の登場人物と出会った。俺達は無事脱出したけど具・上樽はあの中で永遠に彷徨っていないといけないなんて気の毒を通り過ぎて何も言えないよ。せめて良い結末を祈るしかない。
二人が脱出出来たのはグウェンダルやヴォルフがアニシナさんに取り合えずの結末を書かせただけであって、当の本人は、いささか結末が不服らしく、俺達が脱出した後、また本を書き直していた。
「けど、コンラッドが一緒でホントに良かったよ。俺1人だったら、巨大生物のお腹の中にすぐ収まってジ・エンドになってたところだった」
「ちゃんとユーリを守れて俺も良かった。一人でこんな怪しげな場所にユーリ一人だなんて耐えれないからね」
「けどアニシナさんの本、今までみたいに気軽に読めなくなっちゃうよ。結構面白いんだよな、毒女シリーズ」
「なら次も一緒に読みましょうか。そしたらまた一緒に冒険出来ますよ」
俺はベットの上に転がって、枕を抱き締めた。
「冒険っていうか…けど内容によるよ。それにいきなり気付いたら本の中なんて困るよな。またパニックになっちゃうよ」
「あ〜、ユーリ」
コンラッドが苦笑いしながら近付いて来る。
「その時は、違う方法で夢なのか試してくださいね」
「ご、ごめん。ホントすみません。ごめんなさい」
あの時のことを思い出して、俺はベットの上で土下座した。ポンポンと頭を叩かれて顔をあげる。
「もう、大丈夫ですよ」
「本当に?」
「でも…」
コンラッドの笑顔が曇り俺は不安になった。
「使えるかどうか試してないから、もしかして大丈夫じゃないかも」
「ええっ!!まだ試してなかったのっっ!試さなきゃダメじゃん。使いもんにならなかったら大変だよ」
俺は真剣な顔で身を乗り出す。
「貴方以外の人となんて試せないでしょ」
「えっ?」
苦笑いしながらコンラッドの顔が近付いてキスをされる。えっ、試すってトイレいって用足してないとかじゃなくて....だよなやっぱり!?
俺はコンラッドの意図するところを理解して真っ赤になる。
「ちょっとコンラッドっ!!」
ベットに押し倒され、首筋をコンラッドの舌が這っていく。
「責任とって、試させて下さいね」
低い声で耳元で囁かれ、俺はぎゅっと目を瞑った。
こっちの試すですかぁ!!!!
しかし俺のせいで本当に使いものにならなくなってしまっていたらどうしよう。
やはりここは男らしく責任をとるべきだ。
「じゃあ、途中で痛かったりとか、ダメだったりしたら無理すんなよ」
「はい、ユーリ」
ぎゅっと抱き締められて、クスクスとコンラッドの笑う息が耳をくすぐる。
コンラッドとしてみれば真剣な顔をして本気で自分を心配するユーリが可愛くて堪らない。冗談ですと最初は言おうと思っていたのだが折角お許しがでたので、コンラッドはお言葉に甘えることにした。
耳朶を甘噛みすると敏感な体が小さく跳ねる。
「腰…いた」
俺はシーツにくるまったまま枕を抱き締め、うつぶせに呟いた。
「何か言いました?」
「全然っ大丈夫じゃんかっ!!」
顔だけ横に向けてコンラッドを睨み付けるが、当の本人はニコニコと嬉しそうな顔をして俺の髪の毛の先を弄んでいる。
「はい。ユーリを満足させられて良かったです」
「ま…!!」
爽やかな顔して何てこと言うんだよっ。俺が真っ赤な顔で口をパクパクさせていると、
「あれ?満足しなかったですか?さっきは物凄く、感じて…」
最後まで言わす前に枕を顔面に叩き付ける。
「エロ獅子っ!!もう絶対騙されねーからなっ!」
クスクスと笑うコンラッドに俺は思い切り宣言した。
2007/9/17
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